観察メモ
DATE|2025年11月
FIELD|市民農園
AREA|鎌倉市
CROP|クワ(桑)
ACTION|土手のクワを伐根
RELATED|レモン 土手整備 桑伐根 計画
MATERIAL|ノコギリ・スコップ
まず、ひとこと言われた
作業していると、こう言われた。
「大変なだけだから、やめた方がいい。」
手ごわい相手に四苦八苦している最中に、
いちばん聞きたくない種類の言葉だった。
これ、本当に抜けるのかな。
そもそも抜いていいのかな。
斜面での作業で体幹も心も揺らいでいたので、
その一言が余計に堪えた。
それが、やさしさからの言葉であるだけに沁みた。
優しさを超えて土地を知る人の、誠実な心配だった。
根っこが地面を掴んでいた
土手の上に、私の圃場は乗っている。
その支えになってきた根を切り進めるたびに、
私は、この場所のバランスを壊している気がした。
迷いながら作業を続けていくと、やがて姿を現した。
地上部分を削除した桑の株の“本体”、
地下を走る太い根の塊。
長い年月、この斜面を支えてきた根だ。
ノコギリがしなる。
水分を含んだ個体なのに、音は乾いていた。
その響きが、斜面に小さく跳ね返る。
根を断ち、土をはがし、確かめる。
その繰り返しの中で――ふいに、景色が変わった。
大きな根を切り落とした瞬間、
クワは地面を離れ、静かに倒れた。

頼む新しい形を受け入れてくれ。
今日の気づき
地面がフカフカというより、どこかスカスカしている。クワを抜いた瞬間、足元がグッと下がった。
そこにあったはずの土が、抜けたように感じた。この土地は、見た目以上に“軽い”。
だからこそ、形を変えるときは、さらに注意が必要だと気づいた。
考える時間
この日はここで作業を終えた
レモンの揺れる風景よりも
今はこの作業に想像力が必要だ。
クワはまだ4本ある。
今日のクワは小さい方だと思う
一方的に撤去すれば土手にダメージは確実だ。
この土地にとって何が正しいのか。
まだ同じ地図の上に描き切れていない。

『壊すと同時に造る』。
たぶんいま向き合っているのは、そういう作業なのだと思う。
形をつくる仕事のそばには、いつも「壊すこと」と「造ること」が同時にあった。
そしていま、この斜面で向き合っている感覚は、これらに似ている。



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