芋蔓式に広がる仲間たちの声―― サツマイモ掘りをめぐる秋の群像劇 ――

さつまいも

10月下旬。肌寒い。
空はまだ定まらず、晴れと曇りと雨が日替わりでやってくる。
近くの農家さんでは、すでに先週収穫を終えていた。
一畝だけ残してあるが、そこにも秋の風が吹いている。
そう、兎に角、急に、私たちの里は寒くなりました。

手元の栽培本には「霜が降りる前、晴天が続いた日に」と書かれている。
だから、焦らず待っている。
けれど今年は、いつにも増して天気が気まぐれだ。
「もう掘った?」という仲間からのメッセージが朝から届く。
子どもたちとの“芋掘り大会”を約束している私は、
「今週末、晴れが二日続いたら行こう」と自分に言い聞かせている。芋達にも言い聞かせよう。

「17日に半分掘ったよ。ちょっと早かったけど楽しかった!」
「アライグマなのか何者かに、芋を半分食われた!」
「葉が黄色くなってきたなら、もう頃合いかもね?」

仲間たちの声がスマホの画面をにぎわせる。
それぞれの畑、それぞれの事情。
芋蔓式とはこの事だのLINE。
天気、動物、家族、イベント――
サツマイモひとつ掘るにも、人生のリズムが関わってくる。

ある人は「10月10日と13日に分けて掘った」と語る。
生育期間は約135日。
「これ以上置いても肉質が落ちる」と冷静に分析するその言葉の奥に、
畑の経験がにじんでいた。
そしてもう一人は、こう言った。
「先に掘った人たちを横目で見てばかり。」

週末は子どもたちとバーベキュー。BBQ,BBQ。
その火で焼き芋をしたい。
先週の試し掘りでは、まだ早くて少し虫に食われた芋もあった。
でもそれも含めて、畑のリアルだ。
天候不順の年ほど、掘りどきの判断は難しい。
それでも、迷いながら、笑いながら、誰かの畑を話題に季節を分かち合う。
それがこの小さな畑の楽しみなのだと思う。

晴れ間をつかまえて、子どもたちと畝を掘り起こす予定だ。
どんな芋が出てくるかは、まだわからない。
でもきっと、今年も笑い声の響く収穫になる。
――だから、秋は、次の晴れを待つのだ。

追記
そろそろ掘りどきが近づいてきた。
いや、もう、その時だ!
天気予報とにらめっこをしながら、晴れ間を待っている。ダメだな。
土の下では、きっと静かに甘みを蓄えていることだろう。

次回はいよいよ芋掘り本番。
秋の陽ざしと土の香りに包まれた、収穫の瞬間を迎えたい。

お芋は、作るの楽しいと思います。
お芋から始めるのはおすすめします。
このサツマイモ体験の裏に失敗サトイモ体験が展開されています。
ご期待ください。

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