畑に帰る日
ポットでの養生を終え、私たちはふたたび畑へ帰ってきた。
生き残ったのは10本。
あのドラム缶風呂(ポット)の中で、
私たちはもう一度、自分の中にある力を思い出した。
根を張ること。
陽を受けること。
土とつながること。
そして今――
新しい畝に並び、再び地のぬくもりを感じている。
根っこは確かに生き返った。
白く、まっすぐ、未来へ伸びていく。

あの頃、枯れそうだった葉先はいま、青く光っている。
白く伸びた根が、新しい大地の匂いを確かめるように広がっていく。
Roots Again
私たちは横に並び、土のぬくもりを感じていた。
畝は、少し前より深く、やわらかい。
その底には、わらが敷かれていた。

土と空気のあいだに、私の居場所がある。
わらの隙間を通って、風が根に届く。
それは畑がくれた、静かな歓迎のサインだ。
わらの仕掛けの意味
- 適度な保湿
土と根が直接ベタつかないので、水はけがよく、
それでいて乾きすぎない「しっとりした空気感」が生まれます。 - 温度緩衝
昼夜の温度差をやわらげ、根の活動を安定させる。
秋口や日中の強い陽射しにも効果あり。 - 通気性アップ
根のまわりにわらを挟むことで、空気の通り道ができます。
→ 窒息を防ぎ、根腐れのリスクを減らす。
地面の下で、根が息をしているのがわかる。
カゴメの“かる〜い土”で育った頃とは違う、(あれは、あれで、快適でした)
重く、確かな大地の手ざわり。
Reunion
私は再び畑とつながった。
そこに特別なドラマがあるわけじゃない。
ただ、太陽と風と土の匂いが戻ってきた。
それだけで十分だった。
仲間たちと並んで、私は思う。
「またここから始めよう」
生き延びた10本のネギ。
枯れても、折れても、
根が生きていれば、もう一度立ち上がれる。

写真では少し分かりにくいかもしれませんが、畝の脇は深めに掘ってあります。
雨のあと、水が根にたまらないように――水はけを意識した作りです。
住宅跡地は、いまのところ土が締まりやすく、水が抜けにくいようです。
そこで畝の脇を少し深めに掘り、余分な水が流れやすいようにしました。
見た目には地味ですが、根が呼吸できるかどうかを左右する大切な工夫です。
この旅は、市民農園からはじまり、
ポットの控室を経て、いまは住宅跡地へ。
土が変わり、風が変わっても、
私は根を伸ばし続けている。
どんな場所にも、生きる余白がある。
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