第4話:Reunion ― Roots Again

ネギ

畑に帰る日

ポットでの養生を終え、私たちはふたたび畑へ帰ってきた。
生き残ったのは10本。
あのドラム缶風呂(ポット)の中で、
私たちはもう一度、自分の中にある力を思い出した。
根を張ること。
陽を受けること。
土とつながること。

そして今――
新しい畝に並び、再び地のぬくもりを感じている。
根っこは確かに生き返った。
白く、まっすぐ、未来へ伸びていく。

あの頃、枯れそうだった葉先はいま、青く光っている。
白く伸びた根が、新しい大地の匂いを確かめるように広がっていく。

Roots Again

私たちは横に並び、土のぬくもりを感じていた。
畝は、少し前より深く、やわらかい。
その底には、わらが敷かれていた。


土と空気のあいだに、私の居場所がある。
わらの隙間を通って、風が根に届く。
それは畑がくれた、静かな歓迎のサインだ。

わらの仕掛けの意味

  1. 適度な保湿
    土と根が直接ベタつかないので、水はけがよく、
    それでいて乾きすぎない「しっとりした空気感」が生まれます。
  2. 温度緩衝
    昼夜の温度差をやわらげ、根の活動を安定させる。
    秋口や日中の強い陽射しにも効果あり。
  3. 通気性アップ
    根のまわりにわらを挟むことで、空気の通り道ができます。
    → 窒息を防ぎ、根腐れのリスクを減らす。

地面の下で、根が息をしているのがわかる。
カゴメの“かる〜い土”で育った頃とは違う、(あれは、あれで、快適でした)
重く、確かな大地の手ざわり。

Reunion

私は再び畑とつながった。
そこに特別なドラマがあるわけじゃない。
ただ、太陽と風と土の匂いが戻ってきた。
それだけで十分だった。

仲間たちと並んで、私は思う。
「またここから始めよう」

生き延びた10本のネギ。
枯れても、折れても、
根が生きていれば、もう一度立ち上がれる。

写真では少し分かりにくいかもしれませんが、畝の脇は深めに掘ってあります。

雨のあと、水が根にたまらないように――水はけを意識した作りです。
住宅跡地は、いまのところ土が締まりやすく、水が抜けにくいようです。
そこで畝の脇を少し深めに掘り、余分な水が流れやすいようにしました。
見た目には地味ですが、根が呼吸できるかどうかを左右する大切な工夫です。

この旅は、市民農園からはじまり、
ポットの控室を経て、いまは住宅跡地へ。

土が変わり、風が変わっても、
私は根を伸ばし続けている。
どんな場所にも、生きる余白がある。

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