早く植えたい、2月の春ジャガ|Wanting to plant early, in February

畑の余白(Margin)
2026年2月、鎌倉の市民農園。早植えを考えながら、種芋を運ぶ。

■ この記事の献立
場所:市民農園(鎌倉)
季節:2026年2月
気候:寒波あり/霜あり(Zone9)
テーマ:春ジャガの早植えをどう判断するか
内容:
・早く植えたい気持ちと、まだ寒い現実
・早植えのメリット
・早植えのデメリット
・畑条件(鎌倉・Zone9)から考える
・今年の結論(2月3週に植える)
関連:ジャガイモに関する記事はこちら


2月になると、「もう植えていい?」が頭をよぎる。

まだ寒い。
霜もある。
園芸誌やネットでは「早植え」という言葉が目につき始める。

早く植えれば、収穫も早い。
梅雨や夏の高温を避けられるかもしれない。

けれど一方で、
寒さで芽が傷んだり、種芋が腐ったりする不安も消えない。

この時期に検索されているのは、
「正解」ではなく、判断の材料だと思う。

この記事では、2026年2月に限って考えてみる。
ジャガイモの「早植え」について、
自分の畑条件を前提に、考えたことを整理しておく。

道行けば梅が咲き始めています。
一方、最強寒波なる来客が雪を降らせている。

例年、2月4週に種芋を植えています。
今年は、2月3週に植えようと考えています。

「早く植えたい」と「まだ寒い」のあいだで

2月の畑に立つと、気持ちが二つに割れる。
ひとつは、「もう植えてしまいたい」という焦り。
もうひとつは、「まだ寒い」という、身体の感覚だ。

日中の陽射しは、確かにやわらいできている。
土に手を入れると、凍ってはいない。
梅が咲き、季節は確実に前へ進んでいる。

けれど、朝は違う。
最低気温はまだ一桁で、霜の心配も消えない。
天気予報には「寒波」という言葉が、何度も現れる。

園芸誌やネットの記事は、
その二つの気持ちを同時に刺激してくる。
「早植えで収穫を前倒し」
「猛暑を避けるための早植え」

どれも、理屈としてはよく分かる。
実際、春ジャガは早く動いたほうが楽になる場面も多い。

2月の「早植え」は、
技術の問題というより、判断の問題だと思う。
気温や地温の数字よりも、
この畑で、この時期に、どこまで賭けられるか。

早く植えたい。
けれど、まだ寒い。

私の場合は、
「植えたい」という気持ちが、少しだけ勝ちそうだ。
冬の間、ずっと春を待ってきたからだ。

早く植えて、
そこから、どうやって物語を進めていくのか。
今年は、その過程も記していこうと思う。

早植えのメリット

早植えの魅力は、
収穫が早まること、その一点に尽きるように見える。
けれど実際には、もう少し手前のところにある。

ひとつは、作業のリズムが前倒しになることだ。
芽が動き、土寄せや芽かきの時期も早まる。
春先に集中しがちな畑仕事が、少し分散される。

もうひとつは、気象との距離感だ。
春ジャガは、梅雨や初夏の高温に差しかかる前に
収穫できるかどうかで、印象が大きく変わる。
早く植えることで、そのラインを
わずかに前へずらせるかもしれない。

早植えが注目される背景には、
近年の気候の変化もある。
暑くなる時期が読みにくくなり、
「いつも通り」が通用しにくくなっている。
その中で、早く動くという選択肢が
現実味を帯びてきたのだと思う。

また、精神的なメリットも無視できない。
種芋を植え、畑が一歩動き出すと、
冬のあいだ止まっていた時間が、
ようやく先へ進み始めた感じがする。
畑に「今年」が戻ってくる。

もちろん、これらはすべて
うまくいけば、の話だ。
早植えのメリットは、
結果として得られるものだけでなく、
そうなるかもしれないという余白にある。

その余白に、賭けてみたくなる。
それが、2月に「早植え」が気になってしまう
理由のひとつなのだと思う。

早植えのデメリット

早植えのいちばんの難しさは、
寒さそのものよりも、寒さが読めないことだ。

2月の天気は、安定しない。
日中は春のようでも、
翌朝には霜が降りる。
予報に「寒波」という言葉が出るたびに、
植えた畑のことが頭をよぎる。

地温が十分に上がらないと、
芽はなかなか動かない。
動かない時間が長いほど、
種芋は土の中で待たされる。
そのあいだに、傷んだり、
思わぬ形で腐ってしまうこともある。

芽が地上に出てからも、安心はできない。
柔らかい芽は、霜に弱い。
一度傷むと、生育は遅れ、
収穫時期も結局は後ろへずれる。
早植えしたはずなのに、
時間だけが伸びていく。

もうひとつのデメリットは、
植えたあとの落ち着かなさだ。
天気予報を何度も確認し、
気温の数字に一喜一憂する。
不織布をかけるか、
土をもう一度寄せるか。
畑に行けない日ほど、気になる。

資材や手間も、少し増える。
マルチ、不織布、追加の土寄せ。
早植えは、
「植えて終わり」にはならない。

それでも、多くの場合、
失敗は派手には起きない。
芽が少し遅れる。
揃いが悪くなる。
思っていたほど早くは収穫できない。

早植えのデメリットは、
大きな失敗よりも、
小さな違和感が積み重なることにある。

だからこそ、
早植えは技術の問題ではなく、
自分がどこまで気にするか、
どこまで手をかけられるかという、
判断の問題になる。

自分の畑条件で考える

— 市民農園(鎌倉・Zone9)

早植えが成立するかどうかは、
一般論よりも、畑そのものに左右される。
だから一度、自分の条件だけを並べてみる。

ここは、鎌倉の市民農園。
いわゆる Zone9 にあたる地域だ。
冬は冷え込むが、長くは続かない。
雪はまれで、霜も一時的なことが多い。
霜が降りれば気にはなるが、そこまでダメージはないと考える。

冬のあいだ、大根が頑張っていた。
凍結するほどの冷え込みが続かない、
という前提が、この畑にはある。

一方で、安心材料ばかりではない。
朝の冷え込みは確実にある。
高くそびえる竹藪の日陰になるため、場所によっては霜が溶けにくい。
周囲よりも白くなることもある。
芽が地上に出るタイミングが、
いちばん神経を使う。

だから、ここでの早植えは、
「無防備に植える」ことではない。
マルチは必須。
芽が出てから穴をあけるパターンで進める。
天気予報を見て、
一手戻る余地を残しておけるか。

Zone9だから大丈夫、
という話ではない。
Zone9だから、判断の幅がある畑だ。

寒さが一気に抜ける年もあれば、
3月に入ってから冷え込む年もある。
その振れ幅を受け止められるかどうかが、
この畑で早植えを選ぶ条件になる。

そう考えると、
鎌倉のこの市民農園では、
2月下旬から3月初めにかけての定番から
“半歩早い”植え付けは、
試す価値があるラインだと思っている。
もちろん、条件が不安ならば、延期することもまだ可能だ。
畝を分けて、二段階の植え付けにする余地もある。

この畑条件が、
今年「植えたい」が少しだけ勝ちそうな
理由でもある。

今年の結論

今年は、
2月3週に植える。
来週。

例年より、ほんの少しだけ早い。
大きく賭けに出るわけではないが、
様子見だけで終わらせる気もない。

早植えのメリットも、
デメリットも、ひと通り見てきた。
そのうえで、
この畑、この冬、この春を考えると、
一歩だけ前へ出る余地があると感じている。

全面的に早植えするつもりはない。
寒波が戻れば、手を引けるようにする。
マルチで地温を守り、
芽が出るまでは静かに待つ。
芽が動いたら、
そのときの天気と相談する。

早く植えること自体が目的ではない。
どう動き、どう戻れるかを含めて、
今年の畑を組み立てていく。

2月の判断は、
いつも仮の結論だ。
正解かどうかは、
春が進んでから分かる。

だからこそ、
その過程を記していく。
うまくいっても、
思ったほどではなくても。

今年の春ジャガは、
この判断から始まる。

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