住宅跡地の土づくり|横浜

雑草がすごい

圃場を引き継いで、最初に感じたのは「雑草の勢い」だった。
目を離したすきに、地面は緑に覆われている。
根は深く、葉はどこまでも伸びて、風に揺れている。
そのたくましさに、少し圧倒される。

草を抜いても、すぐに次が出てくる。
キリがない。
まるで“おかえり”と言われているような気がする。
土はすでに、彼らの世界だ。
人間が何かを植えるより前に、ちゃんとこの土地を管理している。

クワを手に入れた。
初めてのmyクワ。
思っていたよりも重く、刃は鋭い。
これは立派な刃物だ。

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あのジャケットのように振る、音が出る。



ザクッという低い音。
その音が、心のどこかに響いた。
いや、本当に、根っこが、ぶった切れる感じ。
固い地面に刃を差し込むたび、草の根が切れて、土が動く。
混ざり合う草と土。
乾いた表面の下には、行き止まりの層があって、 そこには痩せたミミズがいて、根っこの玉がある。
草の根は、土をつないでいる。
それを切りながらも、また別の命を感じる。

全部をきれいにするのはやめた。

あきらめた。

「雑草がすごい」—— そう思うとき、実は土が元気な証拠なのかもしれない。
刃を入れながら、そんなことを考えた。
この場所の生命力の中に、自分も少しずつ混ざっていけたらいい。
この町が私たちを暖かく迎えてくれたように。

そう思いながら、今日もクワを振る。
ガッ、ジャッ、ガガッ、ジャコッ、

音はまだぎこちないけど、 確かに、畑が動き始めている気がする。

この土地は、かつて家が建っていた住宅跡地。
地面の奥(雑草の根の下)には、石ころや固まった土が眠っている。
きっと、長い時間をかけて踏み固められた土だ。
だからこそ、少しずつ空気を入れて、光を通してやることから始めている。

この場所での活動を通して、
「こんなところで野菜なんてできるの?」と思っている方と、
共有できればと思っています。
雑草の下の、ミミズも、いつかぶっとくなって、バタバタ暴れだすでしょう。
土はちゃんと生きていて、
手を入れれば、必ず応えてくれる。
そんな小さな奇跡を、この町で少しずつ続けていけたらうれしいです。

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主な活動内容

この圃場では、まず雑草を丁寧に取り除き、
その根や刈り草を土に戻すように混ぜ込んでいます。
米ぬかを加えて微生物の動きを促し、
長いあいだ締まり続けていた土を、ゆっくりと呼吸させることが当面のテーマです。

目標

この土地の力を少しずつ取り戻しながら、
きぬさややスナップエンドウなど、冬を越える豆を植えたいと思っています。
寒さのなかでもじっと根を張り、春に小さな花をつける豆たちのように、
この土地にも、ゆっくりとした循環を取り戻していきたい。