季節は10月。
朝晩の空気がひんやりしてきて、畑の緑も少しずつ秋の色を帯びてきました。
今日は、ずっと気になっていたさつま芋を、一本だけ試しに掘ってみることにしました。
芽出しから始まり、ツルが畑いっぱいに伸び、夏を越えてここまで。
バターナッツとともに雑草から畑を守ってくれました。
その間、雨や日照り、颱風にもなんとか耐えてきた畑の仲間たち。
「そろそろいい頃かな」とゴソゴソ覗く瞬間は、いつも少し緊張します。
土の中から現れた芋は、まだ少し細め。

赤い肌に陽の光があたると、掘りたて特有のしっとりした質感が浮かび上がります。
形は不揃いで、太りきっていないものもあるけれど、それもまた今年らしい姿というべきか。
葉の勢いから想像していたほどのボリュームはなく、 「あともう少し太らせたいな」と思う一方で、 そろそろフィナーレ。
畑には、期待と不安がいつも半分ずつ。
でもその“わからなさ”こそ、季節を感じるいちばんの贅沢かもしれません。
もう少しだけ見守って、秋の本番の収穫を迎えます。
ツルボケ――そのイヤな単語が、ふと頭をよぎります。
ツルボケとは、さつま芋のツルや葉ばかりが勢いよく伸び、肝心の芋が太らない状態のこと。
見た目は立派で元気そうなのに、土の中では実が育っていない。
肥料が多すぎたり、雨が続いたり、畑の条件がほんの少しズレるだけで起こる現象です。
対策としては、ツルを少し持ち上げて“ひっくり返す”くらいしか知りません。
ツルが地面に根を張りすぎると、養分が分散してしまうので、
途中で裏返して呼吸させてやる——それくらいのことしかできないけれど、
不思議とその作業をしていると、少しだけ安心します。
畑では、完璧を求めすぎないことも大事。
うまくいかない年があるからこそ、次の秋をまた楽しみにできるのだと思います。
とはいえ、期待しています。
丸々とふてぶてしい安納芋の姿を。
マルチありと無しで効果に違いがあったか?
繋いだツルと新しく購入したツルに違いがあったか?
確認しないといけません。
この時期の畑は、ただ眺めているだけでも発見があります。
朝の光で葉の裏が透けて見えたり、土の温度が少しずつ下がっていたり。
その小さな変化の積み重ねが、収穫の結果につながっていくのだと思います。
今年のさつま芋はどうだったのか――掘り上げて確かめるのが、今から楽しみでもあり、少し怖くもあります。
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