この記事の献立
・場所:市民農園(鎌倉)土手
・季節:2025年11月
・作業:土手の下見
・資材:
・背景:市民農園の小川沿いの土手にレモンを植える構想を固めるための最初の下見です
── 小川のほとり ──
私の畑の南側に、小川が流れています。
水はゆるやかに動き、陽の光を受けてきらめいています。
と、語り始めたいところですが、現実は少し違います。
ここには野生のシソが群生し、根が深く、土をしっかりとつかんでいます。
小さな虫たちがその間を飛び交い、夏の名残をゆっくりと手放していく。
この小川の縁に、レモンを植えようと思っています。
レモンは、日当たりがよく、冬でも日差しが届く場所を好みます。
乾きすぎを嫌うけれど、水が溜まるのも苦手。
水はけのよい土に、有機質を少し混ぜて、根が息をできるようにしたいと思います。
小川のそばというこの環境は、光と湿り気のバランスがちょうどいい気がします。
風の通り道を読みながら、少しずつ土をほぐし、
季節の香りが混ざるような畝をつくりたいと思います。
オレンジ色のバスが通るたび、窓の外にこの畑が見えます。
もしそこにレモンの木が立ち、黄色い実が風にゆれていたら――
通りすがる人の気持ちが、少しだけ明るくなるといいな。
駅に向かう時は左側に座って下さい。おうちに帰る時は右側に座って下さい。
この町の風景の片隅に、そんな小さな色があってもいいと思います。――少々、勝手ですが。
レモンは冬の冷たい風には少し弱いけれど、
南向きのこの斜面なら、大丈夫な気がします。
レモンの葉は光を好みます。空に手を伸ばせる環境を、何とかつくりたい。
春に白い花を咲かせ、夏の雨を受け、冬に色づく。
一年の変化を、そのまま町の風景に馴染ませたい。
だから――レモン畑をつくろう。
土をほぐし、風を感じながら、
小川の音とともに、この土地の光にひとつの黄色を足していこう。
その明るい黄色が、町の中の小さな名物となる日を夢見て。
まずは、切り拓くところから始めます。

レモンを植えるのは、来年の3月から4月を目指しています。
冬のあいだに、この茂みを少しずつ切り拓き、土をほぐし、風と光の通り道を整えていくつもりです。
寒さが深まる時期こそ、畑は静かに力を蓄える季節。
焦らずに、根が息をできる場所を準備し、春の陽ざしを迎える支度をしていきます。
小川の音を聞きながら、この土地の色にレモンの黄色が混ざる日を思い描いて。
次回は、まず最初の整地から始めます。


