秋の雨に焦らされました。
本日、収穫です。
アンダーグラウンドの祭典。
食べごろは年の瀬あたりでしょうか。
しかし、興奮のピークは――今日、この日です。
決着をつけようじゃないか。

ツルを切り、葉を通路にあげた。
黒いマルチをはがすと、細い根っこがびっしり。
濡れた土の匂いが立ち上り、空気が少し甘く感じる。
先週は雨でお預けでした。そして、今日、いよいよ芋ほりです。
スコップを入れると、土はしっとりとやわらかく、その下に眠る安納芋たちが、静かに姿を現す。
地中から現れたその赤みは、まるで地下の音を響かせるよう。
ひとつ、またひとつと掘り出すたび、
手の中に、夏からの時間の凝縮が伝わってきます。

根が張り、ツルが伸び、葉が光を受けて呼吸していた日々。
すべてはこの瞬間に向かっていた。
掘り上げるたび、土の音がリズムを刻み、
心の中でイントロが鳴り始めます。
掘り上げた芋は、すぐに洗わず、そっと並べて乾かします。
晴れ間を見つけて2〜3日。
風に当てながら、表面の泥を落とし、余分な水分を抜いていく。
この“ひと呼吸”が、甘みを閉じ込めるための大事な時間です。
安納芋は、甘くて、ねっとり。
けれど、その甘みはまだ地中の奥にある。
これから数週間、ゆっくりと落ち着かせて、
年の瀬あたりに本領を発揮する。
追記
そして、来年は、新しいさつまいもの品種を試してみようと思います。
これまでは、安納芋一筋でした。
その優しい甘さと、ねっとりとした食感。
焼きいもにしたときの蜜の香りは、何度味わっても飽きることがありません。
掘りたての土の香りを吸い込みながら、
「やっぱりこれだな」と思わせてくれる、信頼の一本です。
けれど、季節をいくつも重ねていくうちに、
同じ畝でも、もう少し違う顔を見てみたくなりました。
どのような種類があるのか、まだ知見が浅いので、おすすめの品種があれば教えていただけると嬉しいです。
安納芋を基準にして、来年は少しラインナップを広げる試みです。
甘みの系譜を畑で確かめる。
そんな冬の計画を立てながら、今年の収穫の余韻をゆっくり味わいたい。
畑の“アンダーグラウンド・ラインナップ”をどう組むか。
それが、この冬の小さな楽しみになりそうです。
掘り終えた畝は、ふかふかしていました。根が耕し、雨が整えたステージ。次はタマネギの出番です。

