はじめに
畝づくりは、家庭菜園を始めるうえで避けて通れない最初のハードルです。
苗や種を買ってきても、土が整っていなければ野菜は思うように育ちません。
私にとってその基本を学んだ場所が、鎌倉の市民農園でした。ここでの15年間の経験は、今の畑づくりの土台になっています。
15年続けてきた畑との付き合い
市民農園を借りた当初、土は固く、石も多く、鍬を入れるたびにガツンと止まるような状態でした。地下茎という言葉を初めて知ったのもこの畑です。今も悩まされていますが、うまく付き合いながらやっています。場所は農園の端の方で、面積も今よりも大分狭かった。
最初は思うように育たないことばかりでした。芽が出ても育たず、葉ばかり茂って実がならない。そんな失敗の連続でしたが、毎年耕して堆肥を入れ、雑草を刈っては畝に戻す。その積み重ねのなかで、少しずつ「育つ土」へと変わっていきました。
面白い失敗は、変わった種類を選んで、家族から???私も???
今、大切にしているのは、土に手をかけすぎないことです。肥料を入れすぎず、自然な循環を邪魔しない。草ボーボーはNGです。そうやって見守るうちに、畑が自分で呼吸をするようになったように感じています。
ヌカを使った土づくり
米ぬかは、この15年間で欠かせない存在になりました。撒いて混ぜ込むと土がふかふかになり、土壌改良材とのコラボの時は土壌から上がる湯気のようなものが微生物の働きを知らせてくれます。肥料というよりは「土を元気にするおまじない」に近い感覚です。
私は田舎から送っていただいた玄米を精米し、その時に出るヌカを使っています。ありがたい。
無料であること以上に、「余ったものを土に戻す」という循環の喜びがあります。市民農園を続けるうえで、ヌカは経済的にも精神的(と言えば大袈裟です。後に言葉を思いついたら差し替えます)にも大切な相棒です。
苦土石灰との付き合い方
場所によって、土は酸性に傾きやすいため、苦土石灰での調整は欠かせません。ただし、入れすぎは逆効果。ジャガイモのように石灰を嫌う作物もあるので、加減を知ることが大切です。私は「春に全体を軽くまく」「ジャガイモ畝だけは避ける」といった自分なりのルールを守るようにしています。
苦土石灰は万能ではありませんが、長年使っていると「ここには必要」「ここは控えよう」と、聞く感覚が少しずつ育ってきた気がします。ハズレる事も多々ありますが、聞こうとする気持ちは楽しい気持ちです。
酸度計も試していますが、まだ、上手に使えてません。
畝づくりとマルチの工夫
最初のころはビニールマルチに頼り切っていました。草が生えず、土の乾燥も防げて「これさえあれば大丈夫」と思ったからです。けれど続けるうちに、マルチが土の呼吸を妨げる場面や、有機物を循環させたい場面もあることに気づきました。
最近では状況に応じて使い分けています。夏の強い日差しや雑草対策にはビニールマルチ、草を活かしたいときには刈った雑草を敷いて草マルチに。便利な資材を活かしながらも、自然のサイクルを止めすぎないように工夫しています。
市民農園から学んだこと
15年の市民農園生活を通して学んだのは、畝づくりは「人が整えるもの」であると同時に「土が自分で育つもの」でもあるということです。ヌカや苦土石灰でほんの少し背中を押してやれば、あとは太陽と雨、そして微生物が畑を成長させてくれる。
「育てる」のではなく「育っていくのを手助けする」。目標は循環の一部に参加できるようになりたい。
まとめ
鎌倉の市民農園での畝づくりは、
- ヌカで土を育て
- 苦土石灰でバランスを整え
- 高畝・低畝やマルチを工夫して
- 雑草や堆肥を循環させる。
そんな小さな積み重ねが、15年かけて今は「呼吸する畑」がタイトルです。
忘れてはいけないのが、一緒に畑で汗を流す友達が沢山できました。これが、このページで一番書きたかった事です。