はじめに
ここでは、南関東の気候を想定した秋まき大根の育て方を紹介します。
南関東の秋は残暑が長引き、冬は比較的温暖で霜も遅めに降ります。そのため、大根は9月上旬〜10月上旬に種をまき、冬に収穫するのが基本です。秋まきは病害虫のリスクが比較的少なく、じっくり育てられるのが特徴と言われていますが、虫も病気もあると思います。
品種は、秋まき専用の青首大根 「秋の彩」 を例に解説します。根がまっすぐに伸びやすく、肉質はやわらかくみずみずしいのが特徴です。大根おろしやサラダに向くほか、煮物やおでんにしても甘みが増す、家庭菜園にぴったりの品種です。
1. 種の準備
大根は小さな種子を直接まきます。秋まきでは筋まきが基本で、1列に2〜3cm間隔でまき、後から間引いて整えます。発芽率が高いため、まきすぎに注意します。
2. 土づくり
土づくりは種まきの前、8月中旬ごろから始めます。
まず畑の雑草を刈り取りながら、ヌカや苦土石灰をすき込んで土に混ぜ込みます。その後、畝を立てて透明ビニールマルチで覆い、太陽光消毒を行います。
真夏の日差しで地温が50〜60℃まで上がると、雑草の種や害虫・病原菌の多くが抑制され、土がリセットされたようにすっきりします。およそ2〜3週間ほどかけて消毒し、その後ビニールを外してから種まきの準備に入ります。
3. 種まき(筋まき)
畝を幅60〜70cmに立て、深さ1〜2cmの浅い溝を作ります。そこへ2〜3cm間隔で筋状にまき、薄く土をかけて鎮圧し、たっぷり水を与えます。最終的には株間25〜30cmになるように間引きで調整します。
4. 間引き
発芽後、本葉が2〜3枚になったら1回目の間引きをします。その後、本葉が5〜6枚の頃に最終間引きを行い、株間25〜30cmで1本立ちにします。間引き菜はやわらかく、サラダやおひたしとして美味しくいただけます。
5. 追肥と管理
最終間引きの後、株元に軽く化成肥料を追肥します。窒素を多く与えると葉ばかり茂って根が太りにくくなるため、控えめに与えるのがポイントです。根の肩が地表に出てきたら、軽く土を寄せて日焼けを防ぎましょう。
6. 水やり
秋まき大根は生育後半にかけて気温が下がり、土が乾燥しやすくなります。特に根が太り始める時期は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えるようにします。乾燥が続くと根割れや筋っぽさの原因になります。
7. 収穫
種まきから60〜70日、根径が5〜7cmになった頃が収穫の目安です。「秋の彩」は11月下旬〜12月にかけて甘みがのり、煮物やおでんに最適な味わいになります。抜き遅れると「す」が入りやすくなるので、適期を逃さないよう注意しましょう。
ワンポイント
南関東での秋まき大根は、8月中旬から土づくり(太陽光消毒)→ 9月に筋まき → 年内に収穫が成功の流れです。冬を越すと根が硬くなり、品質が落ちてしまうことがあります。
収穫した大根は葉を切り落とし、新聞紙に包んで立てた状態で冷暗所に保存すると長持ちします。冷蔵庫の野菜室でも保存可能ですが、早めに食べ切ると風味が良いです。